エンゼルスの試合では試合開始前から終了後まで数多くのイベントやファンサービスが行われる。
試合開始前
テールゲート・パーティ(Tailgate Party)
単にテールゲートと言うこともある。SUVなどの車にBBQの道具を積み込み駐車場でBBQをすること。エンゼルスタジアムでも試合前にテールゲートを行っている人は多い。試合開始4時間半前に駐車場のゲートが開くので、ゲームが始まるまで思いっきり楽しむことが出来る。エンゼルスタジアムの象徴となっているBig Aのサイン辺りがテールゲートの許可ゾーンになっている。
パーティ慣れしたグループも大勢おり、思い思いに試合前のひとときをエンジョイしている。中には巨大なキャンピングカーでやってきたり、お店顔負けの本格的な料理を作る達人もいる。エンゼルスファン同士なら打ち解けて仲間に入れてもらえるかも。ちなみに駐車場でのアルコールは禁止事項である。
私は2002年ワールドシリーズ第6戦の日以来、2022年10月1日に久々にテールゲートパーティをした。試合開始3時間ほど前に駐車場に入り、陽よけテントを張り、お手製ハンバーガーを友人達に振る舞った(私の好きなモスバーガーを舌コピしたレシピ)。スタジアムを見ながらハンバーガーを頬張り、大谷の契約情報(この日、1年30ミリオンドルで契約した)などエンゼルスについて語り合うのは実に楽しいものだった。
試合開始直前
試合開始10~15分くらい前には表彰式や始球式、地元の子供たちによるマーチングバンドなどのイベントが行われる。そして国歌斉唱(National Anthem)となる。国歌斉唱時には全員が起立して帽子を取る。米国民が抱く国旗や国歌への尊敬の念は日本の比ではない。困ったことに?売店の売り子や切符切りやエスカレーターの係員まで、国歌が流れ始めると仕事を止めて、直立不動で国歌を歌い始める。エスカレーターも止まる。売店では客が大勢行列していようが店員も手を止めて直立不動。「早く売ってくれー」と言いたくなるが所変われば品変わる、国歌が終るまで静かに待とう。
オーロラビジョンに歌詞が出るので、これを機会にアメリカ国家を覚えるのもいいかもしれない。ちなみにトロント・ブルージェイズと対戦する時はカナダ国歌も流れるので2倍の時間がかかる。ブルージェイズの選手は全試合で他チームの選手の倍の時間立ちっぱなしというわけだ。
そしてビジターチームの紹介のあと、エンゼルスのスターティング・ラインアップが派手に紹介されセンター付近から花火が打ち上げられる。そして過去の名場面集、好プレー集などのVTRが流れる。エンゼルスがワールドシリーズに勝った2002年のシーンが定番だ。
試合序盤
試合序盤は観客ものんびりムード。ビールや食べ物を片手に試合を楽しんでいる。
トリビア&クイズ
オーロラビジョンで、エンゼルスの歴史や選手の記録などに関するトリビアが出題される。かなりのメジャー通でないとこのクイズに答えるのは至難の業。選手にイントロ当てクイズをやらせるビデオもある。
観客撮影
イニングの合間には、場内の観客をテレビカメラが映して、オーロラビジョンに大写しになる。超大スクリーンに自分が映っているのを発見した時の大騒ぎぶりが面白い。しかし4万人以上いる観客の中から映されるのは本当にまれなことだ。管理人もこれまで数度しかない。
軍人さんいらっしゃい
アメリカでは軍人や兵隊は非常に尊敬されている。試合に招待されていることも多く、試合中に「どこの誰々が来ています」と場内アナウンスされ、その人が起立すると盛大な拍手が巻き起こる。日本での自衛隊に対する反応とは真逆かもしれない。軍人ではなく消防士が紹介される時もある。消防士もアメリカでは大きな尊敬を集めている。
珍プレー・好プレー
オーロラビジョンには最近のメジャーリーグの珍プレー、好プレーのビデオが流れ、ちょっとでも退屈しないように配慮されている。
試合中盤
Kiss Cam/Dance Cam/Karaoke Cam/Drum Cam
Camはカメラの意味。試合中盤のイニングの合間に、観客の中からダンスしたり、カラオケのマネをしたり、キスさせたりのシーンを次から次へとオーロラビジョンに大写しになる。
Kiss Camの時など「キスをしろ」と迫る。アメリカらしくほとんどのカップルは大喜びでキスするが、職場の同僚とか、兄妹などで見に来ていたらどうすればいいのだろう?
キスをしないでためらっていると、何度も繰り返してスクリーンに映してプレッシャーをかけて来る。男同士や赤の他人同士、テレビのキャスター同士などが映されることもあり、大爆笑となる。同
ベース持ちダッシュ
事前に選ばれた子供がレフトポール下から三塁ベースに向かってダッシュする。そこで三塁ベースを地面から引っこ抜いて、レフトまで制限時間内に持って帰れるかを試す。おそらく年間予約席を持っている家族の子供なのだろう。しかし小さい子で足が遅いとカウントダウンを微妙に調整して、制限時間内に間に合うようにしてくれる。
ヘルメットの中を3択で当てるアニメーション(オーロラビジョン)
オーロラビジョンに3つのヘルメットのアニメが映り、そのどれかにボールが入るところが表示される。その後ヘルメットは回転しながら位置を変え、止まった時にボールが入っていたヘルメットはどれかを当てるゲーム。動体視力が試される。年によって難易度が変わるようで、難しい年はあまりにヘルメットの動きが激しくて目を凝らしてみていてもどれにボールが入っているのかわからなくなってしまう。
くじ引き
試合途中で抽選が行われ、ある特定のブロックが選ばれる。そのブロックに座っていた人全員にギフトやクーポンが贈られる。
試合終盤
7th Inning Stretch
7回の表が終わると観客が立ち上がりStretch(背伸び)をする。この時かの有名な『私を野球に連れて行って』(Take me out to the ball game)の歌をみんなで合唱する。
その後Tシャツを丸めたものを弾代わりにして、大きな空気銃のようなものでスタンドに投げ入れる。みんなTシャツを取ろうと弾が落下するあたりは大騒ぎだ。
Queenとリスのパロディ
7th Inning Stretchのあと2021年からQueenのフレディー・マーキュリーの叫び声に合わせて、リスが口を動かす動画が流れる。それに合わせて場内も大騒ぎ。リスの動きと音声がとても上手くシンクロしていて見入ってしまう。
ラリー・モンキー
ラリー・モンキーは、2000年頃から登場し、不思議とチームが逆転勝利を収めるようになったことから、現在では球場の名物として定着している。
Rallyとは元々「再結集する」「回復する」という意味だが、スポーツでは逆転したり、反撃することを意味する。Rally Moneyは直訳すると「逆転猿」「反撃猿」という意味になる。そのためラリー・モンキーはエンゼルスがリードしている局面では登場せず、負けているか同点の中盤以降にだけ登場する。
登場パターン
ラリー・モンキーの登場パターンには2通りある。1つはオーロラビジョンにジャンプするラリー・モンキーが現れて、ファンに「もっと声を出せ」とプラカードを掲げるパターン。これは30秒ほどで、いろいろな局面で出てくる。
パロディが面白い
もう一つのパターンは、相手がピッチャーを交代させると、その時間を利用して、映画やテレビの1シーンを使った1分ほどのパロディがスクリーンに映し出さるものだ。試合で見られるのはだいたい7回以降だが、重要な試合になると5回くらいでも流されることがあり、ファンも「今日は特別な試合なんだ」と緊張感が高まる。
とにかくこのパロディは最高に笑えて、一気に場内は盛り上がる。いったい何パターンを用意しているかわからないが、毎回違ったパロディが流れる。著作権の関係か、このパロディはテレビでは絶対に放送されないので、これを見るには球場に行くしかない。管理人も毎回このパロディが楽しみなのだが、たとえエンゼルスが勝っても、先行逃げ切りの展開だと見られないので、なんだか損した気分になる。逆に、リードされていた点差がどんどん縮まって、相手が何人もピッチャーを代えると、そのたびに違うパターンのパロディが流れるので、得した気分になる。
管理人がこれまで一番印象に残っているのは、トム・クルーズがスポーツの代理人を演じた「ザ・エージェント」のパロディで、トムが電話に向かって「Show me the money (金を見せろ)!!!」と叫ぶ有名なシーンが、トムが「Show me the MONKEY!!」(サルを見せろ !!)と叫び、そこへラリー・モンキーが登場するというものだった。
また、別の試合では、80年代のAha~というロックバンドの「Take on me」という曲のプロモーションビデオのパロディが流れた。イラストと実写がクルクル入れ替わるというビデオなのだが、イラストの男の子が実写ではラリーモンキーになってしまうというものだった。
ラリー・モンキーのスターウォーズ版パロディ(2022年4月22日)
試合終了後
試合時間
日本のプロ野球よりもメジャーの試合の方が試合時間は短い。しかし2023年からピッチクロックが導入され、さらに試合時間が短縮された。これまでメジャーの試合は平均で3時間強だったが、現在では平均2時間半くらいである。管理人が出かけた2023年5月22日のレッドソックス戦は投手戦で2対1でエンゼルスが勝ったが、試合時間はわずか2時間5分だった。6時37分試合開始で9時過ぎには家に着いてしまったほどだ。
ただしプレーオフの試合はイニングの合間のインターバルが長く取ってあり(テレビでより多くのCMを入れるため)通常よりも長い試合となる。
9回で決着がつかず延長に突入すると決着がつくまで続行するのがメジャー流。しかしコロナをきっかけに延長戦は無死2塁からのタイブレークが導入され、以前のように15回も16回も延長が続くことはほぼなくなってしまった。コロナ以前は夜中になろうが、日付が変わろうが延々と試合が続くことも結構あったのだが。
エンゼルスが勝利すると、花火が数発センター後方の岩山オブジェから上がる(この花火はエンゼルスの選手がホームランを打った時も上がる)。
そして3塁ベンチ前でヒーローインタビュー。サヨナラヒットなど大ヒーローが出た試合は後ろからドリンクと氷の入った大きなバケツをぶっかけるというのが恒例である。
続いてThe Foundationsというグループの唄う「Build Me Up Buttercup」という曲に乗ってラリーモンキーが踊る映像がオーロラビジョンに流れる。
エンゼルスが負けたときはさすがに何もない。ただおとなしく帰るだけである。
管理人の考える、日本と比較してメジャーの試合時間が短い理由
- コーチや監督がマウンドに行って指示を与えることが少ない
- 投球の組み立てはピッチャーが中心に考えるので、サインが合わず、何度もサイン交換するということがない。
- 投球はストライクから入るのが基本で、ボールから入って様子見をするという発想があまりない。
- 逆にバッターもファーストストライクから打っていく早打ちの選手が多い。またバッティングで早打ち自体が問題になることもあまりない。
Kids Run The Bases (ベース一周ランニング)
週末のデーゲームの後に行われることが多いイベント。試合後に子供(2~18歳)に限って、グラウンドに降りて、ベースを一周させてくれる。1塁側スタンドからグラウンドに降りて、1塁、2塁、3塁、ホームへと子供は走る。親はフェアグラウンド内へは入れないので、1塁側のファールグラウンドをホームべースまで歩き、子供を迎えたら、一緒に3塁側スタンドへ退場する。自分の足で歩くグラウンドレベルはスタンドの上から見下ろすのと違ってなかなか感動的だ。
Saturday Night Fireworks (花火大会)
毎週土曜日のナイトゲームの後は花火大会がある。その日はみんな花火大会があると知っているので、試合が終わっても誰も帰らない。試合終了の約10分後に始まり、音楽に乗って大量の打ち上げ花火が約9分間上がる。場所は左中間後方の駐車場からなので、内野からがよく見える。試合終了後なので、混雑を避けるために早めに球場を出て、駐車した車の中から見るという手もある。
花火のハイライト
ちなみに毎晩午後9時半頃には近くのディズニーランドでも花火大会があり、エンゼルスタジアムから見ることができる。
ちなみに花火を打ち上げ場所の近くで見るとこうなったという投稿
試合後のお楽しみ
Chick-fil-Aの無料サンドイッチ
Hitting for Chiken – エンゼルスが7点以上取るとスポンサーのチキンサンドイッチ・チェーン Chick-fil-A(チックフィレイ)でサンドイッチを無料でゲット出来る。7点取るとオーロラビジョンにも案内が出る。詳細はこちらから。
McDonald’sの無料小ポテト
これは別に球場に行かなくてもいい。エンゼルスがホームゲームで勝った翌日にロサンゼルス、オレンジカウンティにあるマクドナルドの店舗ではポテトの小が無料になる。条件はMcDonald’sのアプリをスマホに入れて、スマホから何か1ドル以上のもの(ドリンクだけとかでもOK)をオーダーすることだ。前述のChick-fil-Aに比べるとあまりお得感はない。