またまたホームランで6月絶好調の大谷
今日のテキサスとの第3戦は試合には敗れたが大谷が9回に特大の21号をセンター左に叩き込んだ。大谷の価値はとどまるところを知らない。
7月末のトレードデッドラインが近づくにつれ、大谷の契約問題の記事が飛び交っている。トレードはないとか、ドジャースに行けとかメッツがいいとか・・・・大谷は契約については一切語ろうとしないので憶測だけの記事ばかりだ。
本当にエンゼルスは贅沢税必至なのか?
メディアもSNSも「オーナーが贅沢税を払おうとしないエンゼルスは大谷とは再契約できない」と騒ぎ立てるが、果たしてそれは事実なのだろうか。エンゼルスが大谷と延長契約したらどのくらいの贅沢税を払わなくてはならないのか考察してみたい。
エンゼルスは今年のペイロール(総年俸)も現時点では贅沢税リミット(233ミリオンドル=233M)を2Mほど超えているので、夏のトレードで年俸調整して贅沢税を払わなくても済むようにすべきだ。
なぜ今年の贅沢税ラインを超えない事が大事かというと、贅沢税は年を連続して超過するとどんどん税率が上がっていく仕組みだからだ。仮に3年続けて10M超過したとすると、税率は1年目は20%、2年目30%、3年目50%となる。超過した分に対してこの税率がかかるので、税額で言うと1年目2M、2年目3M、3年目5Mである。なので2023年は何としても贅沢税を避けて2024年の税率を最低の20%に抑える事が重要だ。
(追記)ペイロールをトレードで調整する方法はいろいろあるが、不良債権プレーヤー同士の交換もその一つ。例えばエンゼルスが1年5Mの選手を放出し、他チームから2年6M(3M x 2年)の選手を受け入れれば、大雑把に言ってエンゼルスは今年のペイロールを2M下げる事が出来る(5Mの選手がいなくなり、3Mの選手が来るから)。相手チームは6Mの負担が5Mで済み、エンゼルスは今年贅沢税を払わなくて済むので両チームWin-Winなわけだ。
そう言えば、今年低迷するカージナルスのゴールドシュミットに放出の噂が立っており、ではエンゼルスは獲得に動くべきだという”識者”の意見がSNSなどを賑わわせている。しかし年俸26Mのゴールドシュミットなんか取ったら間違いなく今年の贅沢税ラインを突破してしまうので私はあり得ないと思う。
大谷がエンゼルスと年50Mで再契約したならば
仮に今年のオフに大谷とエンゼルスが年俸50Mで7年の延長契約を結んだとしよう。今年の大谷の年俸は30Mなので、来年からは大谷の年俸分だけでペイロールが20M増える事になる。するとエンゼルスは贅沢税を払う必要があるのだろうか?
2024年はどうなる?
まず2024年についてだが、2023年と比べてペイロールから確実に外れるのはレンフロー11.9M、ループ5.5Mだろう。外野は過剰戦力気味なので1年契約のレンフローと再契約しないことは問題なく、ループと再契約しない事に反対する人はいないだろう。ループは契約上は7.5M残っているのだがクラブオプションの2Mだけ払えば契約解除できる。ムーアも7.5Mの1年契約が切れるが34歳という年齢を考えると契約延長はしない方がいい気がする。
さらに贅沢税リミットも2023年よりも4M上がって237Mになる。この3人分とリミット増加で28.9Mの枠が増えるので大谷に必要な20Mを払っても贅沢税ラインは超えないのだ。
大谷以外の増加要因だが、1年契約のウルシェラと再契約すれば現状の8.4Mからは若干増加するかもしれない。さらにサンドバル、キャニング、バリア、ウォードなど年俸調停を得る選手も出てくるのでそれなりにペイロールはふくらんでしまう。
それでも2024年についてはほぼリミットか、せいぜい10M超過くらいでペイロールを抑える事は十分可能だろう。仮に10M超過だと贅沢税率は20%なので2Mだけ払えば良い事になる。メッツやドジャースは2022年分として30M以上、ヤンキース、フィリーズは4Mの贅沢税を払った事を考えると2Mなど微々たるものだ。
2025年、2026年はどうなる?
2025年はドルーリーの8.5Mがまず消える。2年後32歳になるドルーリーと再契約するとは思えない。エステベスも6.75Mの契約が切れるが、今年の成績は素晴らしいので、仮にこのままの成績を維持できれば再契約にはかなりの資金が必要となるだろう。しかし彼もその時は32歳になるのであまり深追いはしない方がいいだろう。スタッシの契約も消える(7.5M残っているが0.5M払えばリリースでき、実質5.8M減)。リミットは4M上がって241Mとなるので、ペイロールをリミット内に抑える事はさらに容易になるだろう。
2026年はアンダーソンの13Mが消える。アンダーソンはすでに不良債権予備軍。契約満了でリリースすることに反対する人はいないはずだ。リミットも3M上がり244M。ここまで来ればリミットを超える事はもうないだろう。もっともアンダーソンの代わりに同程度の投手を外から引っ張って来ようとすればペイロールはそれなりに上がる。
そして3年後の2027年
2027年にはめでたくレンドーンの契約も消えてエンゼルスはようやく契約のフリーハンドを得る。おそらく贅沢税ラインまで数十ミリオンの枠を持ち、FA市場でまた買い手になる事が出来るだろう。
だからと言って、もうベテラン選手に大枚をはたくのはいい加減に卒業して頂きたい。外からベテランを引っ張ってこなくても、その頃には今年エンゼルスでデビューしたネト、モニアック、オホッピー、バックマン、ジョイスらがチームの中心になり黄金時代へ突入する事を期待したい。
わずかな金額と覚悟があれば大谷とは再契約出来る
つまりエンゼルスは大した贅沢税の負担なく、せいぜい2M程度の贅沢税を払うだけで大谷と年50Mで複数年契約できるのだ。直近2年でもプーホルスやアップトンの契約を1年残してDFAしたことで何十ミリオンもの金をドブに捨ててきたモレノだ。大谷をキープするための贅沢税が2Mならタダみたいなものではないか。
あとは大谷が望むような勝負に勝つ環境を整えられるかだけと言えよう。
コメント