好調エンゼルスは大谷をトレードで放出しない
7月末のトレードデッドラインが近づくにつれてますます大谷の来年以降の契約についてネットもメディアもバズりまくっている。日本の大谷ファンの意見を見ていると移籍推進派と残留希望派が半々と言ったところだろうか。しかし昨年までと異なりエンゼルスがプレーオフ進出争いに絡んできているためどうなるかは予想が困難だ。
この何年かと同じようにもしトレードデッドライン前に事実上の終戦を迎えていたら、大谷をトレードして若手を獲得するという選択もあったかもしれない。しかしエンゼルスはポストシーズン進出に向けて激しい戦いを続けており、多少のプロスペクトと引き換えに大谷というメジャー最強の戦力をチームから引き剥がすのは全くのナンセンスだ。実際エンゼルスのミナシアンGMは大谷の放出はないと事実上認めた。何よりもプライドの高いオーナーのモレノがあのベーブ・ルースを放出して嘲笑を浴びたボストン・レッドソックスの二の舞は踏みたくないと考えるのは当然で、元々トレードでの放出はないだろう。
若手の伸長が著しいエンゼルス
私は以前から公言している通り、大谷はエンゼルスと再契約すると確信している。特に最近のエンゼルスの好調ぶり、若手の躍進を見てその思いを強くした。モニアック、ネト、オーホッピー、タイス、デトマース、キャニング、バックマン、ジョイスと言った昨年まではほとんど戦力にカウントされていなかった選手たちが試合を決定づける活躍をしばしば見せている。ちょっと前までエンゼルスはファームが壊滅的で未来もないと言われていたが、若手を積極的に起用して経験を積ませる事でようやく新陳代謝が進み将来にも明るさが差してきた。それこそが私が大谷とエンゼルスの再契約を確信する最大の理由である。
去年くらいまでは本当に酷いチームだった。大金を払ったFA選手はほとんど働かず、かといって若手を起用するでもなく、中途半端なベテランを獲得しては解雇を繰り返す。全くチームに活気がなかった。
2002年の優勝を振り返る
2002年にエンゼルスがワールドチャンピオンになった年を振り返ると、あの時のチームは決して圧倒的な戦力を持っていたわけではない。開幕から最初の20試合は6勝14敗と酷いものだった。しかし20代の伸び盛りの選手が多くおり、5月に勝率を5割に戻すと若手の力で勝利を積み重ねワイルドカードをもぎ取った。そしてその若手の勢いに乗ってポストシーズンに飛び込んだことが優勝につながったと思う。若手の勢いを得た時のモメンタムは想像以上の力をチームに与えるものなのだ。
西地区を見渡すと永年君臨してきたアストロズは高齢化が進み下り坂、レンジャースの好調はベテランの活躍によるところが大きく今がピークのように見える。若手の底上げで上り調子にあるエンゼルスは今後コンテンダーとして存在感を増し、大谷の望むヒリヒリした秋の戦いができるだろう。そんなチームを今離れる理由はない。
要は今のエンゼルスはそんなに悪いチームではない。むしろ近い将来に素晴らしいチームに生まれ変わる可能性が高い。
大谷を引き留める資金はあるのか?
相変わらず「モレノは贅沢税を払う気がないから残留できない」という主張も多いが、「エンゼルスは大谷との再契約に本当に贅沢税が必要なのか?」(2023年6月14日)の投稿で検証したように、50Mくらいの年俸ならエンゼルスはほとんど贅沢税を払う必要はなく、大谷との再契約に障害とはならない。
もっとも、これまでのようにFAでさらにビッグネームを獲得してチーム強化を進めようとすると資金は足りなくなり贅沢税もかかってくるだろう。しかし現在はその方針を改めてドラフトと若手の育成でチーム力を上げようとしているように見える。それは大谷と再契約するためにも正しい決断である。
当然ドジャースなどはものすごい大金を用意してくれるだろうが大谷は金では動かないし、金額が多ければ多いほど移籍すれば優勝と金のためにエンゼルスを捨てて行ったという批判も強まるだろう。ちなみにNBAの世界では自ら望んで優勝候補へ移籍する選手を「リング乞食」(優勝チームには記念のリングが渡されるため)と言って揶揄される。「リング乞食」なんて不名誉な称号は大谷には似ても似つかないし、FAは選手の権利ではあるが、チーム成績が振るわないからその権利を行使して勝てそうなチームに行くというのは大谷らしくない。
大谷が再契約した時のコメントを想像してみる
再契約するとしても、どのタイミングで?期間は?単年当たりの年俸は?とわからないことは多いが、大谷がエンゼルスと再契約したらどのようなコメントを発表するのか想像してみた。
移籍推進派にしてみればありえないストーリーで噴飯物だろうが、エンゼルスファンは大谷からこういう発言を聞きたいと思っている。
「本日、私、大谷翔平はエンゼルスと契約延長した事をここにご報告させていただきます。金額、期間については先ほど代理人が説明した通りです。ここでは私がエンゼルスと再契約した理由について簡単に述べさせて頂ければと思います。
元々私はエンゼルス以外のチームでプレーする事はあまり考えていませんでした。そもそも6年前、メジャーに挑戦を表明した時にお誘い頂いた多くのチームの中からエンゼルスを選んだのは私自身ですし、その時に感じた『縁』というものをこれからも大事にしたいと思っています。
入団当初から前例のない二刀流というスタイルを認めてくれ、その環境作りのために多大な尽力をして頂いた球団に対して大変感謝をしています。1年目にトミージョン手術を受けてマウンドを2年近くにわたって離れざるを得なかった時も打者として起用し続けてくれました。そして私自身が二刀流として本当の意味でチームに貢献できたのはこの3年だけであり、十分にチームに報いたとは考えていません。
そして何よりも私はエンゼルスは十分にワールドチャンピオンになれる実力を蓄えつつあると感じており、私もその一員としてチームメート達と熱い戦いに身を投じる事にこの上ない喜びと興奮を感じています。
契約を延長した事で、エンゼルスの一員としてワールドシリーズ制覇に向けさらなる努力を続けていく決意を新たに致しました。今後とも応援をよろしくお願い申し上げます。
大谷翔平」
デレク・ジーターやカル・リプケン Jr.など一つのチームで選手生活を全うすること(フランチャイズプレイヤー)は真のスーパースターかどうかの尺度でもある。大谷も生涯エンゼルスで名実ともにスーパースターの道を歩いて欲しい。
コメント
更新お疲れ様です。
リング乞食などと言う呼称は流石に筆者は選手に対するリスペクトが欠けてるのでは?そもそもFAになると言うことはそれまで選手がチーム大して貢献してきたご褒美のようなものであって選手として当然の権利です。そもそも勝つ気がない、金儲けしか興味のないモレノのようなオーナーや球団の方が問題です。そんな恩着せがましいことを言う前にチームの適切な補強ができてなかったことを反省した方が良いです。
私は仮にエンゼルスが大谷選手に残留を要請するのなら最低限10年500M〜12年600M以上は出さないと納得しません。球界最高年俸を得るのは当然の話ですし後進の選手の地位向上の為に必要なことだからです。まあそこまで払えば当然ペイロールはカツカツで戦力は現状維持状態、ここから更なる戦力強化や設備強化をしたいなら更なる投資、贅沢税超過は必須ですが、果たしてその覚悟が本当にあるのかどうか…。モレノのこれまでの言動を見る限り確率は相当低いでしょうが期待しないで待ちましょう。流出したり追加投資しなかったらそこまでのオーナーだったと言うだけで諦めがつきます。
貴重なご意見ありがとうございます。ありがたいです。
今日みたいな酷い試合を見せられると、大谷の気持ちも揺らぐかもしれませんね。
「リング乞食」というのは私が言ったわけではなくNBAのSNSなどで使われている言葉です。大谷選手には似ても似つかぬ言葉です。
もう7月で、この記事の時期から2週間過ぎてしまい。
新しい風を持ってきた選手達とトラウトも離脱してしまい。
いつものメンバーが昇格で、トレードで獲った選手達も衰えが目立つ様で
例年通りになりそうです。
私は今年ポストシーズンに出れても、大谷は出て行くと思ってます。
それは重石が1枚と重石になりそうな人、あのオーナーの贅沢税を嫌う性格と
ボンクラ首脳陣、脆弱なヘルスケア環境と将来が見えないからです。
確かに飛び級で優秀な選手は出てきましたが、そのまま、故障者入りでいつも通りに
引っ張られている感じです。
貴重なご意見、ありがとうございます。大谷選手の去就は日本国民を分断させてしまうんじゃないかと思われるほどですね。
果たしてどうなるか、ちょっと怖いですが、楽しみでもあります。