失意と疲労のダブルヘッダー
管理人は昨日、生まれて初めてダブルヘッダーを2試合とも観戦した。トータルで12時間近くスタジアムにおり、30度を超える気温もあって試合を見るだけでかなり消耗した。家に着く頃はヘトヘトだった。
その注目の第1試合は大谷は先発したがわずか26球で緊急降板した。第1打席でメジャートップの44号をライトスタンドの中段に叩き込んだにもかかわらず、主役が2回表でいなくなって観客は大いに落胆した。この後DHとしても出場せず、この時点では腕の疲労と伝えられた。
第2試合は大谷はさすがに出ないだろうと思いながら、ネットでエンゼルスのスタメンが発表になるのを待っていた。ところが通常はプレーボールの2時間前には発表されるスタメンが試合開始まで45分を切っても発表されない。おそらく大谷を出すべきかどうかギリギリまで議論されていたのだろう。
プレーボールまで35分、ようやくエンゼルスのスタメンが発表になった。私の予想を覆し大谷はいつも通り2番DHで先発出場することになった。出られるという事は、腕の状態はあまり深刻ではないのだろうと一安心した。
しかし試合後その楽観的な予想はまたしても覆され事態は暗転した。大谷の右肘靱帯に損傷が見つかり、少なくとも今シーズンは投球する事はないとミナシアンGMが発表したのだ。
またトミージョン手術が必要なのか、今シーズンは打者として出続けるのか、次に登板が見られるのはいつの事なのか、FA後の契約はどうなるのか、いろいろな疑問が頭の中を駆け巡った。
大谷のケガはエンゼルスのせいなのか?
いろいろニュースを漁っていると、エンゼルスの管理体制を問う記事が多かった。管理がなっていない、予兆に気づけないのはおかしい等々。日本のメディアは大谷は神、エンゼルスは悪の巣窟のような対立軸で語られる事が多いのでこういうトーンになるのは予想できた。どうしてこんなどうしようもないチームにいるんだと叩きまくる。エンゼルスを選んだのは大谷だし、もしチームの成績が上がれば手のひら返しするのは見えているけどさ。
確かにエンゼルスはメジャーイチ故障者リスト入りした選手が多く、開幕時のスタメンで一度もリストに入らずにここまで来ているのはレンフローとレンヒーフォだけになってしまった。そう考えるとエンゼルスのメディカルスタッフには何らかの問題はあるだろうが、だからと言って他チームと比べてとりわけずさんな管理をしているわけではないだろう。
それに大谷はほんの1ヶ月前はダブルヘッダーで完封し、普通に100マイル投げていた。確かに今日は明らかに球速が出ていなかったが、マメやツメの影響で球速が出ない日もあった。昨日の投球の様子を動画で見る限り、右肘を気にする様子も全く見られない。大谷が大丈夫だと言ってきているのだから、あれで異変をもっと早く気づけと言うのは無理スジである。
WBC出場も故障の一因となった可能性
日本では春のWBCは大いに盛り上がりだったようだが、私は元々大谷のWBC出場はあまり良いことではないと思っていた。少なくとも投手としての出場は控えるべきだった。大谷がWBCへ出場していなければ、いつものシーズンよりもハイペースで調整する必要もなかったし、ほとんどやった事のないリリーフで春先に全力投球する事もなかった。WBC出場が今回のケガの一因になった可能性は否定できない。日本のメディアはエンゼルスを攻撃するが、さんざん儲けさせてもらったWBCについては頰っ被りだ。しかしWBC出場は大谷が強く望んだことでもあり、それを非難する気にもなれない。
延長契約のために大谷の意向には逆らえなかったエンゼルス
エンゼルスのシーズンを通しての大きな目標は大谷との延長契約であり、そのために大谷の意向が何よりも優先されるのは仕方なかった。大谷にヘソを曲げられては困るので、どの試合に出るか、いつ休むか、いつ登板するかは大谷次第であったし、またWBCへの出場にしても大谷が出たいと言えばそれを却下する選択肢はなかったのだ。つまり故障の原因は大谷自身も球団も大谷のワークロードにストップをかけられない状態になっていたことだと思う。
もし大谷がシーズンインまでにエンゼルスと延長契約していれば多少なりとも球団側がブレーキをかけることはできただろう。WBCへの出場もストップがかかったり、投手としての出場は禁じられた可能性は高い。しかし何年も続くチームの体たらくをみれば大谷がWBCに真剣勝負の場を求めた事も、契約延長にクビを縦に振らなかった事も理解できる。そう考えると今回のケガはどちらが悪いということはなく、やむを得なかったと言う事ではないだろうか。
エンゼルスタジアムにMRI設備はあるのだろうか?
ミナシアンGMの発表を聞く限り、痛いと言うからMRIを撮ったら損傷が見つかったという流れのようだ。つまり大谷は第1試合に引っ込んでから第2試合が始まるまでの間(約5時間)にMRIを撮ってその画像診断を受けたはずだが、それってスタジアム内にMRI設備があり、そこで撮ったのだろうか?それともスタジアムを抜け出してMRI設備のある病院にでも出かけたのだろうか?
管理人が疑問なのは、メジャーの投手はヒジが痛くなってから初めてMRIを撮るのか、定期的にMRIを撮って状態をモニタリングしてはいないのか、ということだ。
私がオーナーならスタジアム内にMRIの設備を入れ専門家を常駐させるだろう。そして定期的に投手の利き腕の画像を撮って、球団として各投手のヒジの健康状態をモニタリングする。もし故障すれば何百万ドル、何千万ドルもの金額がたやすく損失になってしまう世界だから、そのくらいの投資とケアは当然だろう。MRIは磁気を使うので放射線を使うCTやレントゲンと比べると副作用はほぼない。シーズン中に1ヶ月か2ヶ月に1度くらいの頻度の撮影であれば身体への負担もないはずだ。
当面はDHとして出場継続へ
翌日になって、大谷はニューヨーク遠征にも同行し、当面はDHとして試合に出場し続けると発表された。シーズン最後までDHとして出場を続けるかは不透明だが、大谷らしい決断だと思う。まずは本塁打王とMVPを獲得し、不屈の精神で投手として二刀流復活を遂げてくれると信じている。
コメント
続報ですがエンゼルスは疲労を訴えた時に精密検査をしなかったそうです。これは大問題ですね。そもそもwbcが終わった後に何らかの厳重な確認検査をするべきだし、そう言った粗雑な管理体制が今までの怪我人の多さを表しているのでしょう。
ネトオハッピーら新人を早期昇格させて壊す、トラウトらを無理に早期復帰させてまたILに戻す、こんな事を繰り返していたらダメに決まってます。いかにエンゼルスを擁護しようと全ての物事には偶然でなく理由があるものです。
今回の一見含めFAやトレードで選手たちにさらに白目で見られ煙たがられる球団になりましたし、TDLの動きも大失敗に終わりましたし、反省して早いとこ勝負期は諦めて5年スパンで再建をした方がいいと思います。1からやり直さないとこの球団はダメです。
そこそこの選手をFAで取ってTDLで売り捌き、保有期間が短い選手を売って有望株を取り、傘下の球団の選手や組織としての質を上げて1からやり直せばトラウトの契約最終年までにはポストシーズンを目指せるでしょう。
今日ミナシアンGMが会見して、球団はヒジのチェックをするよう要望したけれど大谷サイドから却下されたと。なので球団の管理上の大問題というわけではなかったわけです。
私は別にGMはそんな言い訳がましい会見をして舞台裏を明かす必要はなかったと思います。メディアの攻撃が激しすぎてつい自己弁護してしまったのでしょう。
ちなみにメジャーリーグをよく知る関係者に質問できたのですがが、レントゲン設備はあっても、MRIをスタジアムに置いている球団は聞いた事がないそうです。それに身体のチェックをするかどうかは今回の大谷の件と同様に、選手側にイニシアチブがあり、球団からヒジのチェックを強制したり義務づけたりする事はないらしいです。特にMRIは問題ないけどチェックのためだけに撮るということはほとんどないのだとか。私はそこらあたりから変わっていく必要があると思います。
管理人さん(どんなコメントでも真摯に返信くださり感謝しております)の
仰る通り、WBCの影響も大きいと思います。過去もイチローや全盛期の松坂も
終了後、おかしくなりましたし。
自分の見解では(球団を余り信頼していない)大谷さんは、自己管理に於いても
マスター級だと思います。WBCの為、いつもより始動が早くならざるを得なかった為
筋肉の疲労等の調節が、過去2年と違い狂ったのではないでしょうか?
それでも、今年は今迄より、早期降板とかが多かったり、過去2年では聞かなかった
原因での降板などがちょこちょこあったので、球団も注意がたりないと思います。
追記です。
投手は先程、書いたように、自らの申告での途中降板が増えても、10勝はしたかったのでは
と思います。これで史上初の複数回の2桁-2桁の達成ですし。
打者としても、状況も有って厳しくなりましたが、区切りとしての本塁打50本か
最低でも48本(エンゼルスシーズン最多本塁打)達成までは休場しないと思ってます。