大谷契約総額1015億円のうち97%は引退後の後払い
ドジャースと大谷の契約内容がMLBファンの間でバズっている。当初から「大谷側の提案で年俸のかなりの部分が後払いになる」と報道されていた。その目的は明らかで、後払いにして年俸の支払期間を延ばすことで球団側は大谷の机上の年俸を減らすことができ、その分贅沢税を回避したり、別の補強に使うことが出来る。当然キャッシュの用立ても必要なくなる。
管理人は後払いと言ってもせいぜい50%くらいだと思っていた。ところが毎年の年俸はわずか2百万ドル(3億円弱)で、年俸総額の97%は契約が切れた後の10年間で支払う契約だという。わーぉ!
もちろん年俸後払いは代理人の入れ知恵だろうが、いくら何でも97%後払いは極端すぎる。年俸2Mってメジャーに上がったばかりのルーキーの2倍ちょっとじゃないか!そりゃ大谷がお金にこだわらないのは有名だし、年俸に頼らなくても膨大な副収入もある。だからと言って実質タダみたいな金額で大谷を10年も使えて、贅沢税も抑えられるとはドジャースにとって有利すぎる。
私は働く側の意思はともかく「働いた分にはちゃんとお金を払って当然」と思う。インフレを考えたら10年後に支払われる50ミリオンは現在の50ミリオンと同価値ではない。目減りしているのだ。極論だがもし10年以内にドジャースが破綻すれば大谷は97%の年俸をドブに捨ててしまう可能性すらある。
大谷が本来もらうべき金額を10年間運用したら
大谷は本来70ミリオンの年俸のうち68ミリオンは10年後以降に受け取るわけだが、もし68ミリオンを10年満期の米国債券で運用すれば(現在の金利 4.411%)、10年後には106ミリオンで帰ってくるのが保証されている。つまり大谷は毎年38ミリオンも損する契約だ。
大谷は本来70ミリオンの年俸のうち68ミリオンは10年後以降に受け取るわけだが、もし68ミリオンを10年満期の米国債券で運用すれば(現在の金利 4.411%)、10年後には106ミリオンで帰ってくるのが保証されている。つまり大谷は毎年38ミリオンも損する契約だ。
チーム間の経済格差を埋めるための贅沢税が骨抜きに
現行では合法とはいえ、さすがにこんな贅沢税の抜け穴を利用したドジャース有利な契約には他チームファンからは大ブーイングだ。大谷がお金にこだわらないことを良いことに金銭に関してはドジャースだけが違う土俵で戦うようなものだ。マエケンの奴隷契約の時も感じたが、王者チームとか言いながら、ドジャースってなーんかセコさを感じるわ。チームに頭の良いヤツがいることはわかるが、頭脳の発揮の方向がイヤらしい。「ルール違反じゃないなら問題ない。その結果自分らが得すればいい」って日本のどっかのチームに似ているな。
一応大谷は10年間毎年2Mずつもらえるわけだが、大谷にしてみれば別に1ドルでも0ドルでも良かったわけで、働いてるのにお金をもらわない契約は野球界、いやスポーツ界の常識をひっくり返してしまった。その結果元々裕福なドジャースは他チームに対してさらに金銭的な優位を築くだろう。大谷の契約は本来チーム間の経済的な格差を埋め、平等な土壌での戦いを目的とする贅沢税を骨抜きにしてしまった。大谷自身は金銭的に得をしないとはいえ(むしろ損する)、メジャーのエコシステムを破壊したとの批判が出るのはやむを得ないだろう。
喜ぶのは代理人とドジャースだけ
今回の後払い契約で大谷の贅沢税計算上の年俸は45ミリオン程度と言われている。それなら最初から10年450ミリオンで契約すべきだったろう(大谷の価値は500ミリオン以上かもしれないが)。代理人のバレロは450ミリオンよりも700ミリオンで契約した方が手数料が増えるから願ったり叶ったりだが、お金にこだわらない大谷だからこそ多少相場より安くてもキチンとした契約をして変な批判を受けるのは避けるべきだった。
こんなルールの抜け穴を利用するような変則的な契約を結ぶとは大谷にしては軽率だったと思う。大谷は日頃から「野球界全体を考える」と言っていたのだからちょっと残念だ。大谷自身は損をして喜ぶのは代理人とドジャース。それでいて他チームから契約についてあれこれ批判されるのでは全く割に合わない。
贅沢税計算ルールは変更されると予想
大谷の契約自体はもう変わらないだろうが、この大谷のいびつな後払い契約が契機となって贅沢税計算の際は後払いが含まれていても契約期間で按分されるように近々ルール変更されると予想する(もしかしたら来年中にも)。そうなれば後払い契約にした大谷が損するだけだ。代理人はそこまで考えなかったのだろうか?
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